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SESエンジニアの実態|仕組み・年収傾向・多重下請けの現実と選び方

最終更新: 2026年6月 | 仕組み・年収・多重下請けを中立に整理

SES(システムエンジニアリングサービス)は、SES企業に雇用されたエンジニアが、客先に常駐して開発業務を支援する働き方です。多くは準委任契約で、エンジニアはSES企業の正社員として社会保険などの保障を受けつつ、様々な現場を経験できます。一方で、多重下請けによる単価の目減りや偽装請負のリスクといった負の側面もあります。本記事では、SESの仕組み、派遣・請負との違い、年収傾向、多重下請けの現実、企業の選び方までを、過度に煽らず中立に整理します。

データ調査時点: 2026年6月 | 出典: 労働者派遣法・民法上の契約類型(準委任)、厚生労働省 job tag(令和7年・同一賃金区分の公表値)、経済産業省 IT関連産業の給与等に関する実態調査(IPA ITSSレベル準拠)

求人数・年収などの数値は調査時点の公開情報に基づきます。最新の情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。 当サイトの評価基準は記事制作ポリシーをご覧ください。

結論:SESは「準委任の常駐」。会社選びで明暗が分かれる

SESは、SES企業に正社員として雇用され、準委任契約で客先に常駐する働き方です。雇用の安定と幅広い経験が得られる一方、多重下請けでは中間マージンが重なり給与が目減りしやすく、偽装請負のリスクもあります。「SESかどうか」より「どの階層・どんな育成方針のSESか」が重要で、会社と案件の選び方で評価が大きく分かれます。

  • 1.準委任の常駐サービス。指揮命令はSES企業側にあるのが原則。
  • 2.多重下請けが深いほど、現場単価に対しエンジニアの給与は下がりやすい。
  • 3.客先が直接指揮命令している実態なら偽装請負(違法)に注意。

SESとは(準委任契約の常駐サービス)

SES(システムエンジニアリングサービス)は、SES企業がエンジニアの技術力・労働力を準委任契約で提供し、客先に常駐して開発・運用などの業務を支援するサービスです。エンジニアは多くの場合、SES企業の正社員として雇用され、給与・社会保険・賞与などの保障を受けながら、契約に基づき客先で働きます。

準委任契約であるため、SESは「業務の遂行」に対して報酬が支払われ、成果物の完成義務は原則負いません。この点で、仕事の完成に責任を負う請負とは異なります。雇用形態全体の中での位置づけはエンジニアの雇用形態の違いで横断的に整理しています。

派遣・請負との違い(指揮命令と完成責任)

SESは外形が派遣に似ていますが、指揮命令の所在が決定的に異なります。請負とも完成責任の有無で違います。

形態契約指揮命令完成責任
SES準委任SES企業側原則なし
派遣労働者派遣派遣先原則なし
請負請負請負会社側あり

出典: 労働者派遣法・民法上の契約類型。SESで客先が直接指揮命令している実態は偽装請負として違法になり得ます。

派遣エンジニアの詳細は派遣エンジニア、請負(業務委託)の詳細は業務委託(準委任・請負)で解説しています。

年収傾向と多重下請けが単価に与える影響

SESエンジニアの年収は、所属するSES企業の階層(何次請けか)と育成方針で大きく変わります。公的データを手がかりに傾向を確認します。

年収を左右する要素

  • 元請けに近い一次請けのSESほど、現場単価が高く給与に反映されやすい
  • 下請け階層が深いほど、各社の中間マージンが積み重なり、給与が目減りしやすい
  • SES企業の評価・昇給制度がスキルに連動しているかで、年収の伸びが変わる

参考として、厚生労働省 job tag(令和7年)では業務用システムSEが約550.5万円、経済産業省の調査ではITSSレベル別にL3で約576万円・L4で約726万円とされています(いずれも同一区分・レベル別の公表値で、SES固有の平均ではありません)。SESかどうかではなく、自分のスキルレベルと所属企業の階層を踏まえて相場を捉えることが重要です。年収帯ごとの必要スキルは年収帯別ガイドを参照してください。

多重下請け構造の現実(中立に)

SESを語るうえで避けて通れないのが、IT業界の多重下請け構造です。過度に悲観する必要はありませんが、現実として理解しておくべき点です。

構造の実際

発注元(元請け)から二次請け・三次請けと、複数の会社を介して案件が再委託されることがあります。階層が深くなるほど各社の中間マージンが積み重なり、最終的に現場で働くエンジニアに渡る単価が目減りしやすくなります。これは違法ではなく業界で広く見られる構造ですが、自分が何次請けの位置にいるかは、給与やキャリアに影響します。

一方で、多重下請けが必ず悪いわけではありません。下請けでも、上流に近い工程を任され、教育・評価のしっかりした企業であれば、経験を積みながら安定して働けます。重要なのは「自分の所属がどの階層か」「育成・評価がスキルに連動しているか」を見極めることです。煽り情報に振り回されず、構造を冷静に理解したうえで会社を選ぶ姿勢が大切です。

メリット・デメリット(エンジニア側/企業側)

SESは、働くエンジニア側と提供・発注する企業側で見え方が異なります。両者の視点を理解すると、会社選びや案件確認に役立ちます。

エンジニア側のメリット

  • 正社員(多くはSES企業の正社員)として雇用され、社会保険・賞与などの保障がある
  • 様々な現場・技術を経験でき、若手は実務経験を積みやすい
  • 案件が変わっても雇用は続くため、フリーランスより収入が安定しやすい
  • 未経験・経験浅めからでも現場に入りやすく、キャリアの入口になりやすい

エンジニア側のデメリット

  • ×多重下請けだと中間マージンが重なり、現場の単価に対して給与が低くなりやすい
  • ×客先常駐のため帰属意識が持ちにくく、評価・育成が会社任せになりがち
  • ×案件・現場を自分で選びにくく、スキルと無関係な配属になることがある
  • ×偽装請負(実態が派遣)の現場に当たるリスクがある

企業側のメリット

  • 必要なスキルを必要な期間だけ確保でき、採用・育成コストを抑えられる
  • 繁閑に合わせて体制を柔軟に調整できる
  • (発注側)自社で雇用せずに開発リソースを確保できる

企業側のデメリット・制約

  • (SES企業)エンジニアの定着・育成・評価を遠隔で行う難しさがある
  • 多重下請けでは中間マージンが利益を圧迫しやすい
  • 偽装請負と判断されると法的リスクを負う

SES企業を選ぶときのチェックポイント

SESは会社選びがすべてと言ってよいほど重要です。入社・転職前に確認したい観点を挙げます。

1

商流(何次請けか)

元請け・一次請けに近いほど単価が高く、給与に反映されやすい。商流の深さを確認する。

2

案件の選択・キャリア面談

希望する技術・現場を選べる余地があるか、定期的なキャリア面談があるか。

3

評価・昇給制度

スキルや実績に応じて昇給する仕組みか、現場任せで放置されないか。

4

教育・帰属意識への配慮

客先常駐でも、自社研修・交流・フォロー体制があるか。

5

契約と実態の整合

指揮命令の所在が明確で、偽装請負になっていないか。

30代・40代がSESと向き合う視点

『経験の中身』を上流・専門に寄せる

30代・40代では、現場数の多さより「どんな工程・役割を担ったか」が評価されます。SESにいる場合でも、上流や専門性の高い案件に手を挙げ、経験の中身を質の高いものに寄せていくことが、次のキャリアへの分岐点になります。

次の雇用形態・年収帯を見据えて動く

SESで積んだ経験は、自社開発・社内SE・上流工程・フリーランスなどの土台になります。担当業務・技術・役割を職務経歴書で再現性のある形に整理し、市場価値と相場を把握したうえで、次の年収帯雇用形態を選んでいくのが現実的です。

よくある質問

Q. SESとは何ですか?派遣とどう違いますか?
A. SES(システムエンジニアリングサービス)は、SES企業がエンジニアの技術力・労働力を準委任契約で提供し、客先に常駐して開発業務を支援するサービスです。最大の違いは指揮命令にあります。SES(準委任)では指揮命令はSES企業側にあり、客先は直接命令できません。一方、派遣では指揮命令が派遣先にあります。SESの実態が派遣のように客先の指揮命令で動いていると、偽装請負として違法になります(出典:労働者派遣法・民法の契約類型)。
Q. SESエンジニアの年収は低いのですか?
A. 一概に低いとは言えませんが、多重下請け構造では中間マージンが重なり、現場で支払われる単価に対してエンジニアの給与が低くなりやすい傾向があります。元請けに近い一次請けのSESか、何次もの下請けかで条件は大きく変わります。年収帯ごとの必要スキルは年収帯別ガイドで、相場の把握は年収相場の記事で確認できます。重要なのは『どの階層のSESか』を見極めることです。
Q. 多重下請けとは何ですか?
A. 発注元(元請け)から、二次請け・三次請けと、複数の会社を介して案件が再委託されていく構造を指します。階層が深くなるほど各社の中間マージンが積み重なり、最終的に現場で働くエンジニアに渡る単価が目減りしやすくなります。IT業界では珍しくない構造ですが、自分が何次請けの位置にいるかは、給与水準やキャリアに影響するため把握しておくべき点です。
Q. SESは偽装請負になりやすいのですか?
A. SES(準委任)では指揮命令がSES企業側にあるのが原則です。しかし実態として客先が直接、業務指示や勤怠管理を行っている場合、偽装請負(実質的な労働者派遣)として労働者派遣法に抵触します。常駐現場では、誰が指揮命令しているかが曖昧になりやすいため、契約の建付けと実態が一致しているかに注意が必要です。
Q. SESはやめておくべきですか?
A. SES自体が悪いわけではなく、会社と案件の選び方で評価が大きく分かれます。一次請けに近く、教育・評価がしっかりしたSES企業であれば、幅広い経験を積みながら正社員として安定して働けます。一方、多重下請けの末端で育成も評価も乏しい環境はキャリアが停滞しがちです。中立に言えば『SESかどうか』より『どのSESか』が重要です。
Q. SESから次のキャリアにどう進めばよいですか?
A. SESで積んだ現場経験は、自社開発企業・事業会社の社内SE・上流工程・フリーランスなど、次のキャリアの土台になります。重要なのは、担当した業務・技術・役割を職務経歴書で再現性のある形に整理することです。経験の言語化と相場の把握から始め、次の雇用形態や年収帯を選んでいくのが現実的です。

SESからの次の一歩を、市場価値の把握から

自社開発・社内SE・上流など、次のキャリアの選択肢と提示年収を確認してから判断するのが安全です。

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